2013年8月30日金曜日

夏の夜の恐怖

(稲川淳二の語りを想像して読んでください。)

 

 

 

え~、コレ知人から聞いた話なんですけどね。

 

8月も終わりに近づいて、やっと涼しくなってきたな~って頃に、また急に暑くなった日の事なんですけどね。

その日、彼は給料日だったそうなんですよ。

 

仕事を終えてね、「今夜はちょっと贅沢しちゃおうかなぁ~」、なんて事想像しながら、ウキウキ気分で帰宅したらしいんですよ。

 

いやね、彼、奥さんと子供がお盆からず~っと実家に里帰りしててね、独り身で気楽なもんですから。

たまには発泡酒じゃなくてビールでも買って飲んじゃおうかなぁ~、なんて思ってたようなんですよ。

 

でね、月末なんで、とりあえず家賃払わないといけないってんで、え~、なんていうんですか、アレ。

ネットバンキングっていうんですかね?

ええ、パソコン使ってお金振り込んだりするやつです。

 

でね、そのネットバンキングにログインしたらしいんです。

そして、振り込まれた給料を確認したそうなんですよ。

そこで彼は妙ぅ~な違和感を感じたんです。

 

「あれ~?おかしいな~、な~んか変だな~?」

 

いえ、確かに振り込まれてはいるんですよ?

確かに振り込まれてはいるんですけどね、どぉ~もその違和感が拭い切れない。

 

まあ、そこで悩んだって仕方ない、ってんで、とりあえず家賃を振り込んだらしいんです。

家賃を振り込んだ後、もう一度残高を確認したそうなんですよ。

 

そこでね、さらに違和感が増したそうなんです。

その違和感の正体がなんなのか、彼は薄々感じてはいたそうなんですけどね。

「いやいや、そんなはずない、そんなはずない」

って、自分に言い聞かせるかのように、彼は次の作業に移ったわけなんです。

 

まあ、実は彼、家賃の他にもね、携帯代やらなんやら、色々支払いが溜まっていたそうなんですよ。

まあ給料日まで払えなかったそれらの支払いを、じゃあ一気に済ませちゃおうって事でね。

 

いやぁ、便利な世の中ですね。

それもネットバンキングでできるっていうんですから。

 

そんなワケで、次々にネットバンキングを使って支払いを済ませていったワケです。

そんでね、やっと全部の支払いを済ませたそうなんですよ。

 

「あ~、終わった終わった~」

 

強がるように明るく言ってみたそうなんですけどね、次の瞬間、彼の顔面は蒼白になったんですよ。

 

 

なんと…

 

 

残高…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1000円を切っていたらしいんですよ。

 

 

いや~怖いですね。

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